Taiki's Blog

ビジネスとテクノロジーの変化に迫る

Googleの無料サービスでみるマネタイズ手法と「Do the right thing」の真意

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こんにちは、Taikiです。

30回目の記事は、いつもお世話になっているGoogleについて書きたいと思います。皆さんは、Googleが提供するサービスを幾つ使用していますか。

私は、Chrome、マップ、カレンダー、ハングアウト、フォト、ドライブと無料で沢山のアプリを使っています。なぜGoogleはこれほど無料なサービスを提供してくれるのでしょうか。この疑問は、Googleのマネタイズと深く関係していますが、今回はこの点に迫りたいと思います。

目次はこちらです。

検索ビジネスの収益化

Googleが無料でサービスを提供する理由の1つは、言わずもがな広告収入です。Googleの収入源の約7割は広告収入によるものですが、なぜGoogleは多くのネットユーザーの人気を集めることができたのでしょうか。

Googleが提供する、検索エンジンのサービスには2つの必須条件があります。1つ目はユーザーが検索したい結果が返ってくる事、2つ目は広告のコンバージョン率を高める事です。つまりユーザーと広告主の両方を満足させることが検索エンジンの必須条件になります。Googleはこの条件を満たし、並み居る競合の中で、検索ビジネスのトップに君臨しました。詳細はこちらになります。

グーグルのペイジ氏とブリン氏は、まずワールドワイドウェブ(www)の各ページを結ぶリンクを選挙の投票に見立て、その数を数えることでページをランク付けするという仕組みを考えた。つまり、「被リンク数が多いページこそ、価値があるページ」という考えである。これこそが、単なる検索システムとは一線を画す新たなカテゴリーの創造だった。

 さらに、この新たな検索方法を収益に換える手段をつくる。「アドワーズ」である。これによって、ユーザーが検索した対象に見合った広告を表示することができるようになり、広告主も「広告が見られた回数」ではなく「広告がもたらす成果」に対して報酬を払うことができる仕組みが整えられた。

出典:https://biz-journal.jp/2017/11/post_21203.html

検索ビジネスで勝利を得たGoogleは、世界のネットユーザーから支持を集め、巨大なマーケットと広告収入を手に入れました。

モバイルユーザーの獲得

さらなるマーケット拡大のため、Googleはモバイル事業に着手しました。まずはAndroidの例を見てみましょう。

スマートフォンという大きな市場をAppleの「アイフォーン」が築き上げましたが、Appleの「アイフォーン」は高級品だったため、新興国ではあまりシェアを伸ばすことが出来ませんでした。

そこでGoogle社が「アンドロイド」社を買収し、デバイスを作ることなくOSだけ他社に開放し(差別化)、中国・韓国のハードウェアの会社に低価格のスマートフォンバイスを大量生産させました。(低コスト化)

それにより現在ではスマートフォンのOSのマーケットシェアはアンドロイドが70%と完全な独占企業となりました。

出典:https://eigobu.jp/magazine/buruoshan

Googleがアンドロイド社を買収し、スマートフォンOSのマーケットシェアの大半を獲得した理由、それはAppleが取りこぼした潜在的なモバイルユーザーを獲得することでした。しかし、Googleは、iPhoneユーザーの殆どを自社の検索エンジンに誘導する事にも成功しました。

GoogleiPhoneiPadSafariでデフォルトの検索エンジンとして自社サービスを指定してもらうため、多額の支払いをしているというのは有名な話です。その具体的な金額は公表されていませんが、アナリストが90億ドル規模(約1兆円)であるとの推計を発表しています。Appleが提供するWebブラウザSafari」はデフォルトの状態だと検索サービスはGoogleを利用する設定となっています。設定画面からYahooやBing、DuckDuckGoに変更することはできるのですが、これを敢えて変更して使う人は少ないでしょう。Safariがデフォルト検索エンジンとしてGoogleを指定していることで、結果として大量のトラフィックGoogleへと流れています。

出典:https://eigobu.jp/magazine/buruoshan

以上の事から、AndroidiOSスマートフォンOSの2強がGoogle検索エンジンをデフォルトで採用している事が分かります。

機会と強みを活かした買収戦略

Googleが無料サービスを提供する理由は広告収入もそうですが、もう1つ欲しいものがあります。それは情報です。Googleは無料のプラットフォームを提供する代わりに、膨大なユーザー情報を集めています。この情報を分析すれば次にどんな事業がバズるかの大きなヒントになります。

例えば、Googleは、膨大なデータから無料動画を視聴したい、というユーザーの強い要望に気付き、既に無料動画を提供するYouTubeと自社の強みである広告収入を掛け合わせて大きな収益源にしました。

また膨大なデータから地図検索のサービスに大きな需要がある事に気付き、既に存在する衛星地図ベンチャーのキーホールを買収しました。その地図検索サービスと自社の強みである広告収入を結びつけ、これもまた収入源にしました、その上、AirbnbUber、日本交通、ぐるなび等にGoogle Mapのアドインを提供し、使用料を徴収するようになりました。この地図検索は更に充実したものとなり、優位性の高いGoogleのサービスの1つになっています。

SWOT分析という、強みと弱み、機会と脅威を分析して経営戦略を立てる手法があります。Googleのビジネスモデルに当て込むと、Googleは自社が保有する膨大なデータを分析して、将来バズるビジネスチャンスを逸早く察知し、自社の強みである広告収入を武器に利益を得ています。更に、自社の得意分野でない(弱み)、特定のコンテンツは企業ごと買収し、自社にとっての脅威を早めに潰しています。

Googleが掲げる「Do the right thing」の真意

Googleの社是に、「Do the right thing」(正しいことをしよう)というフレーズがあります。この真意を考えてみましょう。

例えば、Googleのキーワード広告の場合、検索した言葉と関連度合が高ければ高いほど、広告費に関係なく上位に表示されます。いくらお金を積んでも、関連度合いが高くなければ上には上がりません。

またGoogleは検索アルゴリズムを明確にせず、ページのランクを上げるためにはユーザーの利便性を最優先に考慮するよう説明しています。アルゴリズムを公開してしまえば、検索エンジンのためのサイトになり、ユーザーの利便性を損ねてしまうからです。

Googleが「Do the right thing」を掲げる理由は、公平なサービスこそが、最高の顧客価値であり、同社の生命線だからです。仮に料金に応じて広告が上位に引き上げられたり、検索結果が恣意的に歪められたらどうなるでしょうか。同社の存在価値が薄まりユーザー離れの恐れがあります。

昨年、人口知能とドローンを使用した攻撃兵器の開発協力について、Googleが米国防総省との契約を打ち切りました。この協力は、「Do the right thing」に反する活動として、社内外で多くの批判がありました。

ロサンゼルス(CNNMoney) 米グーグルは1日、人工知能(AI)を使い小型無人飛行機(ドローン)による攻撃精度を高める米国防総省の事業への協力を来年3月いっぱいで打ち切るとの方針を明らかにした。

CNNの取材に応じたこの問題の経緯に通じる消息筋によると、契約更新を拒否する方針は同社幹部が従業員に示した。同月までの契約内容は尊重するとしている。「Project Maven」と呼ばれる事業での契約更新の拒否は一般社会や社内での批判を踏まえたものとなっている。

出典:https://www.cnn.co.jp/tech/35120167.html

あのまま協力を続けていれば、Googleは政府の干渉を強く受け、ユーザーに公平なサービスを提供し続けることは難しかったかもしれません。私がそう思った理由は、大手通信会社のベライゾンのある一件を思い出したからです。2014年、エドワード・スノーデンの告発により、同社は米国政府に膨大な顧客情報を提供していたことが発覚し、信頼と共に多数の顧客を失いました。

ドイツ政府は26日、米情報当局による自国内での盗聴疑惑を受け、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ.N)との契約を解除したと発表した。

元米中央情報局(CIA)職員のスノーデン容疑者が持ち出した機密資料によると、国家安全保障局(NSA)は独国内で大規模な情報収集活動を行い、メルケル首相の携帯電話も盗聴していたとされる。ベライゾンは国内外の通信記録を米情報当局に提出することが義務付けられていた。

内務省は声明で「通信網への圧力、高度なウイルスや『トロイの木馬』のリスクが高まっている」と指摘した上で、「NSAの問題で明らかになった外国の情報機関と企業の関係は、独政府が重要なネットワークに極めて高度のセキュリティーを必要としていることを浮き彫りにした」と強調した。

出典:ロイター通信

こういった経緯を見ると、GAFAなど巨大プラットフォーマー達が政府と対立する構図がより鮮明になります。特定の組織にサービスが偏ると公平さが侵害され、自社の存続が危ぶまるからです。しかし、政府にとっても自国の利益や防衛のため、有用な情報を取らない手はありません。しかしGAFAが協力を拒むなら、もはやタックス・ヘイブン租税回避地)など税金逃れを見過ごすことはできず、巨大プラットフォーマーと政府の対立は、今後も続いていくでしょう。

まとめ

Googleが無料サービスを提供する理由、それはユーザーのアクセス数を集め広告収入を得る事、またユーザーの動向や傾向を逸早くつかみ次の収益源を見つけるためです。

また「Do the right thing」の真意は、サービスの公平さ(≒正しいこと)こそが最高の顧客価値であり、自社の存続に関わる生命線である事を意味しています。ベライゾンの例でも分かるようサービスの公平さを失った瞬間から崩壊は始まります。確かな事はGoogleの脅威は政府を敵にまわすよりもユーザーの信頼を失うことでしょう。